どのビザが必要?ドイツ留学で取得できる5つのビザと申請方法
入国してから3ヶ月以内であればビザなしで滞在することができるドイツ。
3ヶ月以内の短い留学や旅行なら、特にビザを気にする必要もないのですが、3ヶ月を超えた半年〜1年の留学ともなれば、切りたくても切り離せないのがビザの取得です。
ドイツではビザの取得・ビザの切り替えを住んでいる地域にある外国人局に行くことで申請できるのですが、これがまー難しい。
いうなれば外国人局との戦い。
時には口喧嘩にまで発展。対応は極めて悪いの一言で、ビザの発行は担当者にものすごく左右されます。
というかもう担当者の独断と偏見の域です(汗。
そんなわけで、ドイツでビザを取得する方法なんかは人によって意見もバラバラで、実際どれが正しいの?という状態にもなっているんですよね。どれも正しくあり、どれも違っているわけです。
今回はそんなドイツでビザを取得する方法や日本国内で申請できるビザ、ドイツでアルバイトできるビザはどれかなど、ビザにまつわる重要ポイントをまとめてみました。
目次
目的に合ったビザを取得しよう
ドイツでは様々なビザがありますが、まず大事なのは自分がドイツにいる目的にあったビザを取得すること。
学生なら学生ビザだし、仕事が目的なら就労ビザまたはフリーランスビザを取得することになります。
結婚して旦那や奥さんについてドイツ入りしたとあれば、配偶者との滞在ビザを取得することになります。
どれでもいいから、ビザさえ貰えればそれでいいや。
という甘い考えは担当者には通用しないので注意が必要です。担当の目は鬼のクビを取るかのように鋭く研ぎ澄まされています。というか怖いです。
難民の受け入れも増えて、とりあえず働けるビザを!ビザをくれ私に!
と喉から手がでるほどビザが欲しいという人が多いのもまた現状なので、担当者が厳しいのも仕方ないのかもですね。
まずは自分の取得するビザを明確にすることが先決です。
学生は働けない?アルバイトや仕事ができるビザは?
学生なら留学中にアルバイト(ドイツではミニジョブですね)をしたいと考える人はきっと多いはず。
少しでも生活費を稼げるなら暮らしも遊びも充実しますもんね。
ドイツでバイトできればそれだけで大きな社会勉強にもなります。まさに一石二鳥とはこのこと!
しかし、ドイツでは観光ビザ(3ヶ月以内のビザなし短期滞在者はこれになります)・語学学生ビザでは働くことができません。
はるか昔は語学学生ビザでもバイト可能だったようですが、今は学生ビザとくに語学学校に通っている語学学生ビザは働くことができないんですよね。つらい。
なので、ドイツの語学学校に通いながらアルバイトがしたいなら、ドイツのお店でバイトのできる許可を持ったビザを取得する必要があります。たとえばワーキングホリデービザがそうですね。
大学進学を視野にいれた大学準備ビザならバイト可能という場合もありますが、これも必ずしも可能というわけではありません。
月に何時間以内の制限付き、金額にしていくらまでなら可能といった条件が加えられることもあります。そもそもバイト不可という場合もあれば、制限がない場合もあったりと色々です。
バイトをしながら語学学校に通って大学進学を目指すなら、なぜ勉強の時間を割いてまでバイトをする必要があるのか、ココをきっちり説明する語学力が必要です。
このあたりは、ビザ申請を担当してくれる局員によりけり。
ドイツの外国人局はけっこう気まぐれで、担当者によってコロコロと対応が変わります。
それこそ、今日の私は気分がいいからビザ出しとくか、みたいなことも起こったり。
大学に入ってしまえば大学の学生ビザが取得できるので、こちらはアルバイトができます。
ドイツで仕事を目的として生活するとなれば、ワーキングホリデービザ、就労ビザ、アーティストビザ(フリーランスビザ)を取得する必要があるわけです。
ドイツで取得・申請できるビザ
ドイツではビザの取得やビザの切り替えを現地ドイツで行うことが可能です。
基本的には全てのビザを申請することが可能となっていますが、申請難易度は非常に高いです。
語学に自信がないけど、大丈夫かな。おどおど。
と不安を覚えている人はまず間違いなく苦戦すると思います。
私もワーキングホリデービザを取得するためにベルリンの外国人局を訪れましたが、1度は「帰れ」と一括され、二度目の申請で渡航日から数えて1年のビザを取得しました。
たまに「楽勝だったよ〜」という声も聞きますが、それは運が良かったか、語学力が高いかのどちらかだと思います。
ふつう・・・というか多くの人はまず大苦戦すると覚悟してください。
苦戦しても諦めない。外国人局に何度も通ってでも、なにが何でも手に入れる。それがドイツのビザです。
1.語学学生ビザ
3ヶ月を超える留学を予定していて、ワーキングホリデービザを取得しない、とくにバイトはしないよ、という学生はまずは語学学生ビザの取得です。
発行されるビザの期間は半年から長くて1年が一般的です。
語学学校に申し込んだ日程などがビザ発行に大きな影響を与えます。(学校にもよりますが、通常は語学学校に申請した日程で在学証明書がでます)
なかには巧みな話術で語学学校の申し込み日程に関係なく1年ものビザを取得する猛者がいたりもしますが・・・。
基本的にはアルバイトができず、ビザの延長もできないとされています。
語学学生ビザの取得方法は、ビザ関連の質問で一番多いので、「ドイツで語学学生ビザを取得するために必要な準備と申請方法は?」にさらに詳しくまとめています。合わせて参考にしてみてください。
ちなみにですが、市民学校ことフォルクスホッホーシューレは学生ビザの申請ができないので注意が必要です。
2.大学準備ビザ
大学に進学するためにドイツで勉強しています。ビザください。
と申し出れば基本的には2年のビザが下りるとされているのが大学準備ビザです。
語学学生ビザから大学準備ビザに切り替える人も多いですが、必ずしも2年でるとは限らないです。
また、大学準備ビザであればアルバイトが可能との情報もありますが、期間限定であったり、稼げる額に制限があるなど条件付きになることも多く、担当者によってはバイトの許可が下りない等、申請を担当してくれる局員との交渉に全てが掛かっています。
大学進学をよそおって働けるビザを取得しにくる人のことを考えると、このあたりの制限にも納得せざるを得ないです。
3.大学生ビザ
ドイツの大学に入学し、晴れて大学生になれば大学の入学許可証とともに大学生ビザを取得することができます。
バイトもできて、ビザ切れの心配に震える日々ともおさらばです。
大学に入れる語学力があれば外国人局も恐れるに足らずだと思います。
ドイツの学生のなかでは最強のビザです。
学生ビザの申請に必要なもの
学生ビザの申請に必要なものは以下の通りです。
- ビザの申請用紙(現地外人局や住民局などで入手可能)
- 証明写真(幅:35mm 高さ:45mm)
- パスポート
- ドイツの住民登録証
- ドイツで有効な医療保険(歯科治療をカバーしたもので、女性なら妊娠出産がカバーされているもの)
- 語学学校または大学の入学許可証
- 銀行の残高証明証(ドイツにある銀行の閉鎖口座)
(※経済負担証明書は2018年から利用できなくなりました) - 発行手数料(申請場所によりけり)
学生ビザの申請で特に注意しておきたいのは、留学期間中の保険が十分にまかなえているかどうか、銀行の残高証明が十分かという2点です。
まずは保険に関して。
保険はものスゴク重要!ほんっと重要です!
ドイツ滞在中はきっちりと加入する必要があります。
最近のドイツはビザに厳しく、保険の期間が十分でないと、おそらく希望通りのビザを取得することはできません。
医療保険は歯科治療をカバーしている必要があり、さらに女性なら『妊娠・出産』面をカバーしていることが必要です。
ワーホリビザの申請であれば、医療保険と合わせて賠償責任保険への加入が必要ですが、学生ビザであれば賠償責任保険は無くてもビザの取得は可能です。
学生ビザからワーホリビザに切り替える、というのであれば始めから賠償責任保険に入っておくのもおすすめ。
賠償責任保険は、家の備品を壊して損害を求められる、といった時に保険が適用されます。
お金の面で問題がなければ、念のためにビザに関係なくても入っておいて損はないと思います。
では、どの保険に入るのがいいのか?
ビザの申請に使える保険はいくつかあるのですが、個人的には安くて保険も充実しているドイツの保険ケアコンセプトがおすすめです。
ドイツの保険なので、ビザの申請に使えることはもちろん、なにより安いです。安いは大正義です。
続いて、銀行の残高はどれくらいあればいいのか?
働くことのできない学生ビザであれば、月700ユーロほどの生活費証明が必要というのが一般的です。
余裕をもって50万、100万単位で証明を出しておけば余裕がありますね。
2017年までは、高校生や大学生であれば両親の経済負担証明書、日本の残高証明書の提出でビザの取得が可能でしたが、2018年からこのルールが変更。
ドイツにある銀行で閉鎖口座を作り、残高証明書を作って提出することが必須ルールとなりました。
いやいや、閉鎖口座ってなに?
日本ではまず聞かない言葉ですもんね。閉鎖口座。
普通口座じゃダメなの?何がちがうの?あたり気になるところです。
内容としては、ドイツにある銀行で月に引き出せる上限が決まった『閉鎖口座』と呼ばれる口座を作り、お金を入金して残高証明書を発行して提出する必要があります。
コレだけだと、ちょっと分かりづらいかもですね。
閉鎖口座については、説明がすこし長くなるので、「ドイツ学生ビザ取得に必須!閉鎖口座とは?3つの開設方法と残高証明書取得までの流れ」に口座の説明から作り方までをまとめました。
日本の銀行残高証明書ではダメなの?
という部分も紹介しているので、気になる方は合わせてチェックしてみてください。
さて、続いては忘れちゃいけない住民登録です。
ビザを申請するにも、銀行口座を作るにも、まずはドイツで住民登録が必須。
ドイツに渡ってさっそく外国人局でビザ申請したいところですが、まずは住民局で住民登録です。
住民登録に関することは以下にまとめています。
4.ワーキングホリデービザ
31歳未満であればドイツで1年間の滞在許可がおり、アルバイトや仕事もできる最強のビザ。1年という期限付き、年齢制限があるなどの弱点もありますが、留学は1年でいいかなという人にはコレが最も申請もしやすく便利なビザです。
いわゆるワーホリと呼ばれているのは、このビザの略称で、ワーホリ=「海外でバイトしながら語学学校に通う生活」ではないです。もうこっちの言葉のほうが広まってますけどね。
1つ注意しておきたいのが、ワーキングホリデービザは1度しか申請できないということ。
1度でもワーホリビザを発行してしまうと、二度と同じ国でワーホリビザを発行することはできません。
なので、ドイツに複数回留学する予定がある場合は使いどころがポイントです。
はじめてのドイツ留学は語学ビザやビザなし留学で様子をみて、ドイツが気に入れば現地でワーキングホリデービザに切り替える、次はワーホリビザを取って留学する、という人も多いです。私は現地ドイツでワーホリビザに切り替えました。
ちなみにですが、ドイツでワーホリビザを取得、期限が切れたのでイギリスに留学してワーホリビザを取得、といったことはできます。
あくまで同じ国なら1度きり。
ワーキングホリデービザ申請に必要なもの
- 申請に必要な書類
- パスポート
- 証明写真(幅:35mm 高さ:45mm)
- 申請用紙(外国人局・住民局・webからダウンロードで入手 ベルリンならBerlin.deから取得できます)
- 住民登録証
- 往復の航空券(片道の場合は残高証明に必要な金額が上がります)
- ドイツ滞在中の医療保険(歯科治療をカバーしたもので、女性なら妊娠出産がカバーされているもの)・賠償責任保険
- 2000ユーロの預金を証明できる残高証明(航空券が片道であれば倍の4000ユーロ)
- ※残高証明は申請日に近い残高がわかる銀行通帳などでも代用可
- 発行手数料(申請場所によりけり)
基本的には申請に必要なものは語学学生ビザと同じです。
注意点は保険と銀行残高で、これも学生ビザと同じ。
とにかくドイツでのビザ申請は保険と銀行残高は重要というワケです。
とくに、保険は申請日からビザが適応される1年間をちゃんとカバーできているかがスゴく重要!
なんといっても、入国日から数えて1年しか保険が適応されておらず、ワーホリビザがきっちり1年分出なかったのが私です。
また、ワーホリの場合は医療保険と合わせて賠償責任保険に加入しておく必要があります。
残高証明はできる限り直近のものがを用意してください。
私は申請日より2ヶ月前のものを持ってビザの申請に挑んだのですが、これでは古すぎると言われました。(担当者にごねてごねてごねまくって2ヶ月前の残高で納得はしてもらえましたが)
残高証明の変わりに銀行の通帳などでも代用できるので、ドイツで銀行を開設して4000ユーロほど残高がある状態にしておくのも一つです。
日本の残高証明は本人または代理人が窓口で取得する必要があるので、ドイツから直近のものを取り寄せるとなると、なにかと手間は掛かります。
ドイツでのワーホリビザの申請は以下にポイントをまとめています。
また、ワーホリビザは日本で取得することも可能です。
正直いってドイツのビザ手続きはなかなか面倒です。
ドイツ語ができないとかなり苦戦します。なので、ワーホリビザで留学する予定なら日本でビザを取ってしまうのもおすすめです。
合わせて参考にしてみてください。
5.就労ビザ・アーティストビザ・フリーランスビザ
主に雇用を目的としたビザの場合は就労ビザまたはアーティストビザ(フリーランスビザ)を取得することになります。
現地レストランの寿司職人だったり、観光地のお土産も屋さん、ドイツ企業など雇用されるなら就労ビザです。
美容師や翻訳家、DJやアーティストなど個人で活躍される方はアーティストビザまたはフリーランスビザを取得していることが多いです。
雇用契約書(雇用側作成のもの。社判、サイン、税抜きの給料額記載)であったり、職務記述書であったり、自身のスキルを証明する書類やポートフォリオなどが必要になってきます。
個人で用意すべき書類と雇用側である企業に書いてもらう書類など用意すべきものが多いですが、就労ビザであれば、企業がビザ取得サポートしてくれることも珍しくはありません。
ドイツで就活してみた私は某社に電話面談してもらった際に、雇用で1年のビザを取得をサポート、その後ドイツ語力B1以上を証明できる資格を1年以内に取得してもらって、ビザの延長を申請しますと説明をうけました。
このあたりはビザを申請する地域や企業によりけりかもです。
これは余談で、ドイツの話ではないのですが、私の先輩は「圧倒的に日本語ができます!!(そりゃ日本人だから当たり前でしょ!)」というスキル(?)を申請して就労ビザを取得しています。
就労先の企業が所在地でかなりの力を持っているので、これで通過したのでしょう・・・きっと。特殊なケースですね。
まとめると
紹介したビザでアルバイトなり仕事ができるかどうかを表にしてみると以下の通りです。
ビザの種類 | 労働可否 |
---|---|
観光ビザ (ビザなし) |
不可 |
語学学生ビザ | 不可 |
大学準備ビザ | 場合により可能 |
大学生ビザ | 可能 |
ワーホリビザ | 可能 |
就労ビザ | 可能 |
アーティストビザ (フリーランスビザ) |
特定業種のみ可能 |
さいごに
ビザについては、もう担当者次第な部分が強すぎると私は思っていたので、今までブログで詳細を触れてこなかったのですが、問い合わせが多いということもあって、分かっている範囲でまとめてみました。
今回紹介したビザ情報はドイツ大使館の情報や私が実施に外国人局で見聞きしたこと、知り合いの体験談などを元にしています。
そこちょっと情報古いやで!
というビザ通の方がいれば、ぜひコメント欄に書いて教えてもらえれば嬉しいです。もちろん新情報が出ると更新は行っています。(ビザに詳しい人はそもそもココを見ない気もするけれど・・・)
ビザの情報は日々変化しています、最新情報をお探しの方は住む予定またはお住まいの都市サイト、ドイツ大使館に聞いてみるのが確実です。
いつの日か学生ビザで就労できる日がくるといいなぁと願うばかり。ビザ申請は年々厳しくなっているけれど・・・。
もう学生とは無縁な私だけど、もっと多くの人にドイツ留学経験してもらいたいしなぁ。
新しいビザ情報が入ってきたらドンドン更新していこうと思います。
ちなみに、ドイツではビザなしでも90日なら滞在が可能です。
詳しくは「ドイツでビザなし滞在90日のルールとは?一時帰国しても復活しない?」にまとめているので、合わせて参考にしてみてください。
ではでは。
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この記事に寄せられたコメント
2017.3~オペアとしてドイツへ留学しようと考えているものです。留学準備中の私にとって大変勉強になるサイトで非常に助かっています。ありがとうございます。ドイツで習得可能なビザについてなのですがオペアビザについても記載して頂けるとありがたいです。
コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます。
オペアのビザは就労条件の決まったアーティストビザやフリーランスビザと同じようなものだと思います。
ただ申し訳ないことに、オペアでのビザ取得までとなると、私も詳しくないので情報を得られれば今後更新できればと思います。
ビザに関する情報を拝見し、とても参考になっております。ありがとうございます。
一件お聞きしたいですが、上記本文に「語学学生ビザから大学準備ビザに切り替える人も多い」との記載がありますが、【語学ビザ⇒大学準備ビザ】との切り替えが難しくないとのことでしょうか。 この切り替えができないと言われるケースを見たことがありますか。
現在デュッセルドルに住んでいます。語学ビザを持っています。今度大学準備ビザへ切り替えたく、外人局の誰かに聞いたら、【語学ビザ⇒大学準備ビザ】の切り換えは普通はできないと言われました。
御返信頂けると幸いです。
ビザの切り替えは年々厳しくなっているので、今や難しいですね。
2020年から学生ビザからワーキングホリデービザの切り替えすらダメになり、さらに語学学生ビザを取得するとワーキングホリデービザの取得も基本にNGになっちゃいましたし。
ビザの事情は州によって大きく異なるのですが、【語学ビザ⇒大学準備ビザ】の切り換えができないケースも多いかとは思います。あとは当日の担当スタッフによる判断です。